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最高裁判所第三小法廷 昭和56年(あ)707号 決定 1981年7月03日

本店所在地

大阪市東住吉区山坂町二丁目四六番地

有限会社西村診療所検診部

右代表者

清算人

深江清

本籍

和歌山市津秦三五番地

住居

大阪市阿倍野区桃ケ池町一丁目一四番二四号

会社役員

西村正子

昭和一九年一二月一五日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、昭和五六年四月九日大阪高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から上告の申立があったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人両名の弁護人的場悠紀の上告趣意は、いずれも量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 横井大三 裁判官 環昌一 裁判官 伊藤正己 裁判官 寺田治郎)

○昭和五六年(あ)第七〇七号

上告理由書

被告人 有限会社 西村診療所検診部

他一名

右の者らに対する法人税法違反被告事件についての上告の理由は左の通りである。

昭和五六年六月一〇日

弁護人 的場悠紀

最高裁判所

第三小法廷 御中

一、第一審判決は、被告人有限会社西村診療所検診部(以下単に被告人会社という)に対し、罰金六〇〇万円に、被告人西村正子を懲役八月(執行猶予三年)に処している。しかし、右刑は左記事情を考慮すれば重きに失し、破棄しなければ著しく正義に反するものである。

(1) 控訴趣意書にも述べた通り、本件脱税は、被告人会社を一人で切りまわしていた被告人西村正子の単独犯ともいうべきもので、いわゆる会社の脱税犯に見られるような計画性は全くなく、幼稚という他はない。

(2) 犯行の動機についても、夫の経営する病院の建設資金をつくりたいというむしろいじらしいような動機であって、妻の立場として心情的には理解できるものである。

(3) 脱税発覚後、修正申告を行って、加算税を含めて支払を行っている。これらの行為は当然といえば当然であるが、重加算税の附加は、実質的には刑罰に価するものである。

(4) その上、被告人会社はいわゆる被告人正子の個人会社ともいうべきものであり、被告人会社に対する罰金刑は、実質的には被告人西村正子に対するものと同視できる。こうした観点から見ると、被告人ら両名に対する刑は、いかにも重きに失するという印象を免れない。

(5) 被告人西村正子は、十分自己の行為を反省して納税しており、脱税行為を世間に知られて社会的制裁は十分受けている。

以上の観点から、原判決を破棄し、更に相当な判決を求める。

以上

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